『でも』をこらえる
『でも』をこらえる|言葉編
ある雑誌にこんな記事が掲載されていました。それは、
「小学生のお子さんがテストで90点をとって帰ってきました。お母さんは言いました。『あらすごいじゃない。でもあとちょっとがんばったら100点だね』と。さて、あなたは何か感じませんか」というものです。
何の問題もないように思えますよね。褒めているし、あともう少しと励ましてもいるし…。
この記事の続きです。
「この言葉かけには問題点があります。それは正解した90点の部分ではなく、できなかった“10点の部分”に注目しているからです」
そうか、確かに! 悪い方ではなく、良い方に目を向けなければ!と思いますよね。
理想的なのは「90点もとれたの?すごいじゃない」ここで終えておくことです。
「でも」と言いたくなる気持ちをぐっと抑えることが大事です。
お子さんがまだ小さかった頃のことを思い出してみてください。
「私が笑ったら、笑い返してくれた」
「拍手が出来るようになったね」
「ハイハイでこんなに移動できるようになったわ」
「つかまり立ちができた」
「スプーンで1人で食べられた」
「ジャンプが上手だね」
「クレヨンでくるくる上手に丸が描けるようになったね」
今では当たり前にできることでも、あの時は本当に喜んで「すごいね~」「上手だね~」と声かけをしていましたよね。そうすると子どもも、こうするといいのか!
自分ってこんなことができるんだ!よし、もっと頑張ろう!
と自己肯定感を感じ、さらにいろんなことに取り組む意欲が生まれ、そしてそれができるようになっていくものです。決して「でも」と言わず、できない何かを嘆くことはなかったと思います。
それがいつしか「走るのが遅い」「言葉が少ない」などマイナス面を気にするようになってしまいます。
おそらく、今まで家族の中だけで生活していた時は我が子に対して“絶対評価”だったのが、幼稚園や小学校に通い出し、他の子と比べる機会が増え、“相対評価”という軸ができてしまうからかもしれません。気になることは仕方がありませんが、気を揉みすぎてもいけません。
よく聞くたとえですが、コップに水が半分あるとき「半分しかない」ととらえるか「まだ半分もある」ととらえるかの差は大きいものです(もちろんこれは後者の方がよい、という話です)。同じことならプラスに解釈する思考を身につけたいですね。
理英会でも、お子さんには、「力強い線が書けたね」「一生懸命考えたんだね」「最後まで諦めないで頑張ったね」「ケンケンがリズムよく出来たんだね」など、お子さんができたことを具体的に褒めるようにしています。理英会の先生達の得意わざです。
ご家庭でも今日からお子さんの「いいところ探し」を始めましょう。
なお、理英会では年長クラスで毎月1回、年少・年中クラスで年に数回、模擬試験があります。結果が返ってきたとき、お父さんお母さんに注意して欲しいのは、「あと○点とれたら…」と口にしないことです。
褒めポイントを探し、お子さんの健闘を讃えてください。
その一方で「頭の中」では、しっかりとお子さんの苦手分野を把握し、今後の計画に役立てていく、という作業をしていただければよいと思います。